稲葉家は江戸時代に青梅宿の町年寄りを務めた家柄で、青梅でも有数の豪商であった。青梅街道に沿って土蔵造二階の母屋、門、棟割長屋が並び、母屋の東側に井戸が掘られ、北側には土蔵がある。
間口5間半、奥行7間の土蔵造の母屋の表部分は、店舗として商業活動の場に充てられ、奥部分は、生活の場となっていた。
店舗部分は、間口いっぱいに土間を持つ前土間形式で、防火戸の収納部となる袖壁を左右に持つ間口5間半、奥行4間4尺5寸の1階部分と、土戸で守られた窓を持つ梁間4間の豪快な登梁様式であることから、江戸時代後期の建築と考えられる。
また土蔵は1886年頃の建築。門・井戸の覆屋などはそれ以降の時代の建築である。