旧松坂御城番長屋は、松坂御城番、四十石取りの紀州藩士20人の組屋敷として1863年に建設された。主屋二棟・前庭・畑・南龍神社・土蔵からなり、周囲に槙垣を巡らしている。
当初二十戸であったが、1902年、西棟の北端二戸が仮教室として使用された後、一戸が切り詰められ現在の東棟十戸、西棟九戸の形になった。一戸あたり、正面五間、裏に一間の角屋が付く広さをもち、右手に通り土間、左手に田の字型に八畳二間、六畳二間を配置し、式台を構える。
また、東棟側の北端にある土蔵は、もとは松坂城内で米蔵として使用されていた物が現在の位置に移築された。建築年代は江戸時代末期。建物は、明治期に関係者によって設立された合資会社によって維持管理され現在まで現在までその雰囲気が維持されている。