疎水事業は、京都府知事北垣国道の発意により、田辺工学博士を工事担当として、1885年に起工され、1890年に竣工した。水路閣は、この疎水事業の一環として施工された水路橋で、延長93.17m、幅4.06m、煉瓦造、アーチ構造の優れたデザインを持ち、京都を代表する景観の一つとなっている。 また、ここから西500mにあるインクラインは、高低差のある蹴上の舟だまりと南禅寺の舟だまりを結ぶ傾斜地に上下2本のレールを敷き、艇架台により舟を運ぶ施設で、当時の舟運による交通事情がうかがえる。 いずれも、西欧技術が導入されて間もない当時、日本人のみの手で設計、施工されたもので、土木技術史上、極めて貴重なものであり、1983年7月1日に京都市指定史跡に指定された。